Info
2018年11月にテレワーク制度を導入された、住友商事さんを田澤由利が取材させていただきました。5大商社初となる原則全社員対象というテレワーク制度はどのような目的で導入されたのか?
お話を伺ったのは人事厚生部 杉本さん、武藤さん、中庭さん、南雲さん、IT企画推進部の光永さん、さらに当日在宅勤務中だった人事厚生部の小菅さんにはテレワークでインタビューに参加いただきました。
働く時間・場所・スタイルといった従来の枠にとらわれない自律的で柔軟な働き方を実現し、高いパフォ-マンスの発揮と自己価値の更なる向上といった好循環をしっかり回していくことを目的に、そういった働き方を実現すべく導入したのが、2018年11月に国内単体勤務者4,000人を対象に導入したテレワーク制度とスーパーフレックス制度です。
テレワークを福利厚生的なスタンスで導入する場合は、病気や介護、育児といった特定事由にフォーカスし、特定の社員を対象とすることになります。商社業界に限らず、他社ではそのような制度をすでに導入されているところもあります。
しかし、弊社の考えるテレワークは福利厚生ではなく、生産性向上をめざし、パフォーマンスを上げるための選択肢なので、当然、対象は全社員です。テレワークの内容も在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワークの3形態全て利用可能です。
制度の導入に当たり、大事にしてきた信念は「100%性善説」と「まずはやってみる」ということです。
また制度導入の際の全社説明会では、
1)テレワークを効果的に活用していくためには、各組織における密なコミュニケーションが必要不可欠であること。
2)働き方を自分で選択できるからこそ、アウトプットに対する責任を各人が持つ、自由だからこそ厳しい制度である。
という点をしっかり伝えました。テレワークはあくまで働き方の1ツールであり、大事なのは働き方そのものの見直しであると考えています。
はい、実際にテレワークを通じて業務の棚卸しや見える化を、従来以上に徹底して行うことで、「以前より時間当たりの成果を意識するようになった」という社員の声や、「部下の仕事のマネジメント上、非常に効果的」という管理職の声も上がっています。
当然ですが「制度導入」はゴールではなく、働き方の進化に向けたスタートだと考えています。
2019年度についても、両制度の活用状況や課題に関するアセスメント等を定期的に実施し、現場の意見も捉えつつ、必要な対策をスピーディに実行していくことで、高い付加価値を生み出すアウトプット志向の働き方の浸透・定着に取り組んでいます。
原則、在宅勤務・サテライトオフィス勤務については「1週間に14.5時間(週2日相当時間)」を上限としています。モバイルワークについては特に回数などの制限はありません。制度導入前に2回にわたり実施したトライアルのアンケートで、最も支持が集まったのが「週2回程度」という頻度でした。
テレワークの特徴である「時間の柔軟性」を高めるため、テレワーク制度と同時にコアタイムなしのスーパーフレックス制度を導入しました。一方で、働きすぎを抑制するために、フレキシブルタイム外(22:00~5:00)のテレワーク勤務を原則禁止しています。
スーパーフレックスと在宅勤務を組み合わせることで、「通院や子供の学校行事等の事由で中抜けすることも可能となり、大変助かる」という子育て社員からの声が出ています。
先ほども申し上げたように、目指しているのは「アウトプット志向の働き方の促進」であり、社員一人一人のパフォーマンスの向上です。そのためにも、テレワークで働く際の様々な「見える化」がしっかりできるルールを作りました。
具体的には、「テレワーク実施の前には業務計画を事前に上司と擦り合わせの上、テレワークの予定をスケジューラに登録し、社内関係者に事前共有する」ことをルールとしています。これが「仕事の予定の見える化」です。
また、「テレワーク実施中はチャットツール(Lync)にサインインし、常に在席状況が分かり、必要に応じてコミュニケーションが即時にとれる状態にする」こと。これが「働いている様子の見える化」です。
さらに、非管理職は、「テレワーク開始と終了時に所定のメールフォーマットで、上司及び関係者に当日の業務計画等を報告する」ことになっています。これが一日のパフォーマンスの「成果の見える化」です。
―このあと、後編ではテレワーク導入時の様々な工夫や現在の課題、導入効果や今後の取り組みについてうかがいます。